がん研有明病院では、これまでにデジタル画像を用いた病理診断を行っていましたが、従来の環境ではオンラインストレージの容量が限られており、データの再読み出しに時間を要するなど、運用上の課題をかかえていたそうです。病理診断の依頼件数は年間で平均約4万件、毎月約40TBものデータが増えていくという状況であったといいます。
今回、「PowerScale」ストレージを導入したことで、以前のストレージの約6倍となる600TBの実効容量を確保。約1PBのテープライブラリ装置を撤去する目途もついたそうです。また、以前はデータ参照に5分ほどの時間を要し、1つの作業で1つデータしか読みだせていなかったのが、同ストレージでは何人同時にアクセスしても、数秒で必要な画像を参照することができるようになり、病理診断業務の効率化が進んだとしています。
さらに、同ストレージはRAID(Redundant Array of Inexpensive Disks)などを用いる一般的なストレージと異なり、複数のノード間をまたいだ分散ファイルシステムによってデータを保護しているため、ひとつのノードが完全に故障しても、データ損失やサービス停止は発生しないという利点も有しているとのことです。
がん研有明病院は、プレスリリースにて、「将来的にAIによる病理診断を発展させていく上でも、『PowerScale』ストレージに保存された病理画像データが大いに役立ってくれると考えています」と述べ、今後に期待を寄せています。